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    鼠径ヘルニア手術後に起こりやすい合併症とその予防方法

    田村 卓也 田村 卓也
    鼠径ヘルニア手術後に起こりやすい合併症とその予防方法

    鼠径ヘルニア(脱腸)の手術後には漿液腫や腸閉塞、感染といった合併症が起こることがあります。手術は安全な治療法ですが、合併症のリスクを正しく理解し、適切な予防と対処法を知っておくことが重要です。

    本記事では、鼠径ヘルニア手術後に起こりやすい合併症の種類と症状、その見分け方や早期対応の方法、再発を防ぐ生活上の注意点について、専門医の視点から詳しく解説します。

    • 鼠径ヘルニア手術後に起こりやすい合併症の種類と症状
    • 腹腔鏡手術による合併症リスクの軽減効果
    • 術後の注意点と合併症予防のポイント
    • メッシュに関連する合併症とその対策
    • 鼠径ヘルニアの再発リスクと予防策
    • 高齢者における合併症リスク要因
    執筆者
    田村 卓也

    日本外科学会 外科専門医

    田村 卓也

    大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニック院長 | 川崎医科大学医学部卒業後、大阪赤十字病院などで臨床経験を積む。鼠径ヘルニア(脱腸)を中心とした腹腔鏡による日帰り手術に注力し、患者さまの身体的負担を軽減すべく2022年に当院を開院。

    監修者
    所 為然

    一般社団法人日帰り手術推進機構 代表理事

    所 為然

    一般社団法人日帰り手術推進機構 代表理事 | 広島大学医学部医学科卒業後、大阪赤十字病院などで臨床経験を積む。身体負担の少ない腹腔鏡下で行う鼠径ヘルニア根治術で、患者さまの早期の社会復帰を実現。鼠径ヘルニア日帰り手術広島アルプスクリニック院長。

    鼠径ヘルニア手術後の主な合併症の種類と症状

    鼠径ヘルニア手術は古くから行われている安全な術式ですが、合併症がないわけではありません。多くの合併症は術後1週間以内に起きます。これらの合併症の発生をできる限りなくすとともに、起きた合併症に対して適切に対処していくことが我々の使命です。

    漿液腫(しょうえきしゅ)の症状と対処法

    鼠径ヘルニアの図

    鼠径ヘルニア等のヘルニアの手術では、腹壁の隙間をメッシュ等で覆うことで治療を行います。この際メッシュ外側にはもともと、臓器が飛び出していた空間があります。この空間は通常閉鎖していきますが、開いたまま残ると内部に水がたまり漿液腫という状態になります。治療としては内部の水を身体の外から針で刺して抜く事で空間をつぶして閉鎖させます。何回か穿刺が必要になることもあります。また体表から触れることもあり、再発を心配されてこられる方もいます。ヘルニアで無ければ、押したり横になっても消失しませんし、超音波をすると内部に液体が貯まっていることが確認できます。

    感染症の見分け方と早期対応

    創を作った部分は皮膚本来のバリア機能が低下しているため感染を起こしやすいです。創が赤く腫れているなどは感染を疑うサインです。また鼠径ヘルニアの手術ではメッシュを挿入するため、感染には再診の注意を払います。メッシュ等の人工物についた細菌は抗菌薬治療では改善しないことも多く、メッシュ除去を行わなければならない場合があります。

    出血による血腫形成と対処法

    全ての手術で起こり得る合併症です。多くは24~48時間以内におきます。鼠径ヘルニア手術では大きな血管を切ることはありませんので、大出血をおこすことは極めて稀なことです。小さな血管からの出血であれば、術野に血液が貯まり塊を作った状態(血腫)になります。多くの場合はそのまま吸収されて消失します。必要な場合には血腫を除去する事もあります。

    慢性疼痛(術後の長期的な痛み)

    通常術後の疼痛は一時的なものですが、術後3週間を経過しても疼痛が持続する場合は慢性疼痛と言います。慢性疼痛は程度の差はあるものの、10%前後の方で起きると言われています。原因は術操作が加わる部分にある神経だと言われています。鎮痛薬によりコントロールが得られる場合も多いですが、中には疼痛改善の為の手術が必要になる方もいます。

    当院の合併症への取り組みについて

    すべての合併症はまず起こさない事が大切だと考えております。感染に関しては腹腔鏡が有効であるという報告もあるため、当院では原則腹腔鏡手術を行っております。最新の止血器具も取り揃え、出血対策を行っております。また疼痛を起こさない取り組みとして、神経を意識した術操作、メッシュ展開を行っております。また定期的な症例検討を行う事で常に手術をブラッシュアップするよう心掛けております。

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    腹腔鏡手術(TAPP法)による合併症リスクの軽減

    みなさん、こんにちは。大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。今回は、鼠径ヘルニアの腹腔鏡手術後に起こりうる合併症について、最新の研究結果をもとにお話しします

    腹腔鏡手術の合併症率と従来手術との比較

    最近発表された研究では、鼠径ヘルニアの腹腔鏡手術(TAPP法)を受けた60歳以上の患者さん330名を対象に、手術後に起こる可能性のある「漿液腫(しょうえきしゅ)」や「血腫(けっしゅ)」のリスクを予測するモデルが開発されました。漿液腫は手術部位に液体がたまる状態で、血腫は血液がたまる状態のことを指します。どちらも手術後によく見られる合併症です。

    研究でわかったこと

    • 合併症の発生率: 約15.5%(330人中51人)の患者さんに漿液腫や血腫が見られました。
    • リスクを高める要因:
    • 肥満
    • 血液をサラサラにする薬の使用
    • 炎症反応の高さ(CRPという指標で測定)
    • 栄養状態や炎症の指標(アルブミン/フィブリノーゲン比、リンパ球/単球比)
    • 予測モデルの精度: これらの要因を組み合わせた予測モデルは、約88%の精度で合併症のリスクを予測できることがわかりました。

    研究の意義

    この研究により、個々の患者さんのリスクをより正確に予測できるようになり、リスクの高い方には、より丁寧な術後ケアを提供できる可能性があります。この結果は、高齢化が進む日本社会において、特に重要な意味を持つといえます。

    当クリニックからのメッセージ

    この研究結果は、私たち医療者にとって非常に参考になりますが、患者さんお一人おひとりの状況は異なります。当クリニックでは、この研究結果を参考にしつつ、患者さんの年齢や体調、生活習慣などを総合的に考慮し、最適な治療とケアを提供しています。鼠径ヘルニアでお悩みの方や手術後の経過が気になる方は、ぜひ一度当クリニックにご相談ください。日帰り手術の専門クリニックとして、最新の知見と技術を活かし、安全で快適な治療を提供いたします。お気軽にお問い合わせください。皆様の健康と笑顔をサポートいたします。

    鼠径部(足の付け根)の膨らみ、しこりは鼠径ヘルニアかもしれません。平日は21時まで診療し、土日祝日も診療しております。電話やLINEで24時間相談を受け付けております。いつでもお気軽にご相談ください。

    田村 哲也 院長

    患者様が知っておくべきポイント

    • 個々のリスク要因を考慮した術後ケア
    • 予測モデルによる精度の高いリスク評価
    • 高齢者に特化した安全な治療体制
    • 最新の研究結果に基づく治療方針

    【参考文献】
    本記事で紹介した研究内容は以下の論文に基づいています:
    Ge Y, Zhou Y, Liu J, Shen W, Gu H, Cheng G. A nomogram prediction model for postoperative seroma/hematoma in elderly subjects after TAPP. Hernia. 2024. https://doi.org/10.1007/s10029-024-03134-5

    この論文は、鼠径ヘルニアの腹腔鏡下経腹的腹膜前修復術(TAPP)後の合併症予測に関する最新の研究成果を報告しています。詳細な情報や専門的な内容については、原著論文をご参照ください。

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    術後の注意点と合併症予防のポイント

    鼠径ヘルニア手術後の適切な管理と予防策について、具体的な注意点を解説します。

    手術直後(1週間以内)の生活で注意すべきこと

    項目推奨事項注意点
    創部管理清潔保持感染予防が最重要
    活動制限段階的復帰過度な負荷は禁物
    薬物管理処方薬の確実な服用抗生剤は最後まで
    症状観察異常の早期発見発熱・腫脹に注意

    重労働復帰のタイミングと段階的な活動再開

    • デスクワーク:術後1日目から可能
    • 軽作業:術後1週間から段階的に
    • 通常業務:術後2週間程度で復帰
    • 重労働・運動:術後10日目以降医師許可後

    入浴・運動・性生活再開の適切な時期

    活動内容再開時期注意事項
    シャワー手術当日から創部を強く擦らない
    入浴術後3日目から長時間の入浴は避ける
    軽い運動術後10日目から散歩程度から開始
    性生活術後1週間程度痛みがなければ可能
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    メッシュに関連する合併症とその対策

    現代の鼠径ヘルニア手術では、メッシュを使用した修復が標準治療となっています。メッシュ特有の合併症について理解が必要です。

    メッシュの違和感や痛みの原因

    • 正常な反応:術後1-2週間の軽い違和感
    • 注意が必要:持続する強い痛みや発熱
    • 緊急対応:創部の発赤・腫脹・膿の排出

    メッシュ感染の症状と治療法

    症状の程度症状対応方法
    軽度創部の軽い発赤経過観察・抗生剤内服
    中等度腫脹・熱感抗生剤点滴・精査
    重度膿の排出メッシュ除去の検討
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    鼠径ヘルニアの再発リスクと予防策

    こんにちは大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。
    本日は鼠径ヘルニア手術の合併症についての論文を紹介いたします。

    Risk factors for reoperation following inguinal hernia repair: results
    from a cohort of patients from an integrated healthcare system
    Hernia (2023) 27:1515–1524

    こちらの論文ではACHQC(全世界的な鼠径ヘルニアのデータベース)のデータを元に、鼠径ヘルニア手術の術後再発のリスク因子を同定しようという試みを行っております。この中ではリスク因子を患者因子、手術因子に分けて考えられております。

    再発の前兆症状と早期発見のポイント

    患者さん側の因子として年齢(50歳以上:HR〈Hazard Retio:危険度〉 1.43)、性別(女性:HR 2.05 )、BMIの増加(35.1以上:HR 1.74)、現在/過去の喫煙(:HR 1.29)、肺循環疾患、薬物乱用(:HR 1.77)、関節リウマチ/膠原病(:HR 1.76)、糖尿病(:HR 1.21)

    手術側の因子としては唯一「前方アプローチの両側の手術」がHR 2.57でした。同じ両側鼠径ヘルニアの手術でも腹腔鏡手術と前方アプローチの手術で比較すると、前方アプローチの手術で約2倍の再発があったと報告されています。

    リスク因子ハザード比(HR)対策
    50歳以上1.43早期手術の検討
    女性2.05定期的な経過観察
    BMI 35.1以上1.74体重管理
    喫煙1.29禁煙指導
    糖尿病1.21血糖コントロール

    結果を受けて

    両側の鼠径ヘルニアに関しては両側の診断が同時に行えるという点も考えて腹腔鏡に少しアドバンテージがあるように感じます。腹腔鏡では片側と両側の手術で再発率に差が見られなかったことから、両側の手術も安全に行える可能性があります。

    ただ両側前方アプローチの手術で再発が増えるということは、両側の手術を行うべきではないということになるのかは疑問です。腹腔鏡でのアプローチは気腹に伴う呼吸器系への影響などから前方アプローチを選択されることも多いからです。この論文の中でも患者選択が影響している可能性が示唆されています。

    全身状態を考えた上での最適なアプローチなのであれば、前方両側鼠径ヘルニア根治術は容認されるべきと考えます。

    再発を防ぐための生活習慣とエクササイズ

    患者さん側の因子として50歳以上の方で再発率が1.43倍というデータが示されました。これは私達の行っている診療とも深くかかってくると感じました。私達の所に来られる患者さんは比較的若年です。幸いなことに私たちの発信するブログなどの情報をみてご来院いただける方が多いです。50歳未満で手術が出来れば再発を抑えることが出来るということは、情報発信を行い早期診断が出来れば、再発率を抑えられるということになるかと思います。

    実際昔からあったが放置していたという声も数多くあるので、広く知ってもらうことは社会全体の利益につながるでしょう。

    定期的な経過観察の重要性

    まずはセルフチェック

    1. 足の付け根の前面、股関節の部分にやわらかい膨らみがある
    2. やわらかい膨らみを押さえるとなくなる(仰向けに寝ながらすると押し込みやすいです)

    この2点を満たせばほぼ鼠径ヘルニア確定です。

    お風呂で確認し、寝る前に横になって確認するのがおすすめです

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    鼠径ヘルニアは自然治癒できる?自分で治す方法と手術の必要性

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    緊急性の高い症状の見分け方

    緊急受診が必要な症状

    • 高熱(38℃以上)が続く
    • 創部の著明な発赤・腫脹
    • 膿の排出がある
    • 激しい腹痛や嘔吐
    • 排便・排ガス停止

    当院への相談・受診のタイミング

    鼠径ヘルニアでお悩みの方や手術後の経過が気になる方は、ぜひ一度当クリニックにご相談ください。日帰り手術の専門クリニックとして、最新の知見と技術を活かし、安全で快適な治療を提供いたします。お気軽にお問い合わせください。皆様の健康と笑顔をサポートいたします。

    セカンドオピニオンの活用方法

    鼠径部(足の付け根)の膨らみ、しこりは鼠径ヘルニアかもしれません。平日は21時まで診療し、土日祝日も診療しております。電話やLINEで24時間相談を受け付けております。いつでもお気軽にご相談ください。

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    Q. 術後の痛みはいつまで続きますか?

    術後の痛みは個人差がありますが、多くの場合、1-2週間で日常生活に支障のないレベルまで軽減します。鎮痛薬を適切に使用することで、術後翌日からデスクワークは可能です。3週間を超えて痛みが持続する場合は慢性疼痛の可能性があるため、医師にご相談ください。

    Q. 手術後の膨らみは正常ですか?

    術後に手術部位の膨らみを感じることがありますが、多くは漿液腫という正常な反応です。時間の経過とともに自然に吸収されることがほとんどですが、膨らみが硬くなったり痛みを伴う場合は、医師の診察を受けてください。再発との鑑別が重要です。

    Q. メッシュがずれることはありますか?

    適切に固定されたメッシュがずれることは極めて稀です。術後の違和感は組織の治癒過程で起こる正常な反応であることが多く、時間とともに改善します。ただし、強い痛みや明らかな膨らみが生じた場合は、専門医による診察が必要です。

    本日は「鼠径ヘルニア手術の合併症」についての論文を紹介しました。

    鼠径ヘルニアは、一見すると軽度な症状に見えることもありますが、放置してしまうと重大な健康リスクを引き起こす可能性があります。

    鼠径ヘルニアは、早期発見と適切な治療が肝心です。気になる症状がある場合は、当院にご相談ください。

    鼠径ヘルニアかな?と思う方はぜひ当院にご相談ください

    当院は鼠径ヘルニアの日帰り手術を専門とするクリニックです。

    鼠径部(足の付け根)のしこりは様々な病気が考えられ、当院では鼠径ヘルニア以外の疾患についても責任をもって鑑別診断や治療を行います。

    平日は21時まで診療し、土日祝日も診療しております。

    電話やLINEで24時間相談を受け付けております。

    いつでもお気軽にご相談ください。

    田村 哲也 院長

    患者様が知っておくべきポイント

    • 合併症の多くは適切な対処で改善可能
    • 早期発見・早期対応が重要
    • 術後の経過観察を怠らない
    • 異常を感じたら迷わず受診
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