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    総胆管結石・胆管炎とは?胆石症との違い・症状・原因を専門医が解説

    田村 卓也 田村 卓也
    総胆管結石・胆管炎とは?

    「最近体調が悪く食欲がない」「白目の部分が全体に黄色い」「便が白い」このような症状がある方は、もしかすると総胆管結石や急性胆管炎かもしれません。

    総胆管結石と急性胆管炎は、胆嚢結石と比較すれば頻度は低いものの、放置すれば膵炎や敗血症、ショックといった重篤な合併症を引き起こすことがある注意が必要な病気です。一方で、診断・治療には専門的な検査と内視鏡的処置が必要となるため、地域の医療機関と高次施設の連携の良し悪しで、その後の経過が大きく変わってきます。

    ここでは、胆嚢結石との違い、診断、治療、当院での対応範囲を、専門医の立場から詳しくご紹介します。

    • 総胆管結石と胆嚢結石は何が違うのか
    • 急性胆管炎の代表的な症状と、重症化のサイン
    • 診断と治療で使われるMRCPとERCPの位置づけ
    • 抗菌薬から胆嚢摘出までの4段階の治療の流れ
    • 当院でできること、高次医療機関にお願いすること
    • 治療後の再発リスクと、日常生活で気をつけたいこと
    執筆者
    田村卓也

    日本外科学会 外科専門医

    田村卓也

    鼠径ヘルニア脱腸日帰り手術大阪アルプスクリニック院長 | 川崎医科大学医学部卒業後、大阪赤十字病院などで臨床経験を積む。鼠径ヘルニア(脱腸)を中心とした腹腔鏡による日帰り手術に注力し、患者さまの身体的負担を軽減すべく2022年に当院を開院。

    監修者
    所 為然

    一般社団法人日帰り手術推進機構 代表理事

    所 為然

    一般社団法人日帰り手術推進機構 代表理事 | 広島大学医学部医学科卒業後、大阪赤十字病院などで臨床経験を積む。身体負担の少ない腹腔鏡下で行う鼠径ヘルニア根治術で、患者さまの早期の社会復帰を実現。鼠径ヘルニア日帰り手術広島アルプスクリニック院長。

    まず知っておきたい胆道の構造

    胆汁は肝臓で1日に約500〜800mL作られ、以下の経路を流れていきます。

    • 肝臓 → 左右肝管 → 総肝管
    • 総肝管 + 胆嚢管 → 総胆管
    • 総胆管 → ファーター乳頭(十二指腸乳頭)→ 十二指腸

    胆嚢は総胆管から分岐した枝の先にあり、食事の合間に胆汁を貯蔵・濃縮する役割を持ちます。食事のときに収縮して、濃縮された胆汁を一気に十二指腸へ送り出しています。

    経路のどこかに結石や狭窄、腫瘍などがあると、胆汁の流れが滞ります。感染を併発すれば胆管炎が起こります。

    胆道の構造

    総胆管結石とは

    読んで字のごとく、総胆管の中に結石ができた状態を総胆管結石といいます。

    総胆管結石の成因

    • 二次性総胆管結石:胆嚢内で形成された結石が、胆嚢管を通って総胆管へ移動したもの。日本では大半がこのタイプ
    • 一次性総胆管結石:総胆管内で直接形成されたもの。色素結石が多く、胆道感染や胆管狭窄が背景にあることがある

    胆石症のうち胆嚢結石の方の数%〜10%程度に、総胆管結石が合併すると報告されています。手術前検査で偶然見つかるケースも少なくありません。

    胆嚢結石と総胆管結石の違い

    できる場所が違うだけでなく、症状の出方も治療法も両者で大きく違ってきます。混同される方が多いため、ここで整理しておきます。

    症状

    • 胆嚢結石:食後の右上腹部痛が中心。多くは「胆石発作」として自然軽快する
    • 総胆管結石:結石が胆汁の流れを遮断するため、黄疸が出やすい。痛みが出ることもあるが、無症状のことも多い。さらに細菌感染を伴うと急性胆管炎を発症する

    合併症

    • 胆嚢結石:急性胆嚢炎、慢性胆嚢炎
    • 総胆管結石:急性胆管炎、胆石性膵炎

    治療の中心

    • 胆嚢結石:腹腔鏡下胆嚢摘出術(外科的治療)
    • 総胆管結石:内視鏡的治療(ERCP)が第一選択
    結石の違い

    「胆石」とひと言で言っても、できる場所が違うだけで、ここまで治療方針が変わります。実際、当院は総胆管結石のご相談も多いです。総胆管結石は早めの対処が必要なこともありますので、早めの受診が大切です。

    急性胆管炎とは

    胆管に細菌感染が起こり、急性の炎症を呈する病気が急性胆管炎です。総胆管結石による胆汁うっ滞が背景となることが最も多く、悪性腫瘍や良性狭窄が原因となるケースもあります。

    Charcotの三徴(古典的症状)

    • 発熱(しばしば悪寒戦慄を伴う)
    • 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
    • 右上腹部痛

    この3つが揃うのが急性胆管炎の典型ですが、実臨床ではすべてが揃わないことも少なくありません。特に高齢者では発熱や腹痛が目立たず、「何となく元気がない」「食欲がない」だけで来院されることもあります。

    Reynoldsの五徴(重症型)

    Charcotの三徴に加えて、以下を伴うと、敗血症性ショックの状態であり、緊急で胆道ドレナージが必要です。

    • 意識障害
    • ショック(血圧低下)

    Reynolds五徴がそろう状態は、急性化膿性閉塞性胆管炎(AOSC)と呼ばれ、致死率の高い病態として知られています。

    急性胆管炎の症状

    黄疸はなぜ出るのか

    「閉塞性黄疸」と呼ばれるタイプの黄疸が、総胆管結石が引き起こす黄疸の正体です。結石によって胆汁の通り道が塞がれると、肝臓で作られたビリルビン(黄色い色素)が血液中に逆流し、皮膚や白目を黄色く染めます。

    自覚するきっかけとして多いのは、家族や周囲の方からの指摘、健診時の指摘、白目の色の変化、尿が紅茶色のように濃くなる、便が白っぽくなる、皮膚のかゆみが出る、といったものです。鏡で自分の白目をチェックしてみるのも、簡単なセルフ確認になります。

    腹痛に黄疸を伴うときは、単純な胆嚢炎よりも一段深刻な状態の可能性が高いため、見逃さないようにしてください。

    診断の進め方

    東京ガイドライン(TG18)が、診断にも広く使われています。

    TG18 急性胆管炎の診断基準

    • A. 全身の炎症所見:発熱、CRP上昇、白血球上昇
    • B. 胆汁うっ滞:黄疸、肝胆道系酵素の上昇(AST、ALT、ALP、γGTP、ビリルビン)
    • C. 胆道病変の画像所見:胆管拡張、胆管結石、腫瘍、ステントなど

    Aの1項目以上 + Bの1項目以上 + Cで「疑診」、A・B・Cすべてに該当して「確診」となります。

    診療の流れ

    症状経過から急性胆管炎や総胆管結石が疑われる場合は、身体診察を行ったうえで超音波検査を行います。総胆管結石が疑われる場合は、可能であれば連携施設で同日MRCP(MRI)を撮像します。

    MRCPとERCPの位置づけ

    胆管結石の診断と治療では、MRCPとERCPという2つの検査が出てきます。名前は似ていますが、目的も性質も大きく異なります。

    MRCPとERCP

    MRCP(磁気共鳴胆管膵管撮影)

    MRIの撮像方法の一種です。

    • 用途:診断
    • 特徴:MRIの一種で、造影剤を使わず胆管・膵管を描出する
    • メリット:非侵襲的、患者さんの負担が少ない、繰り返し可能、被ばくがない
    • デメリット:治療はできない、ペースメーカー等で実施できないことがある

    ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)

    胃カメラと類似する検査器具を用いた、内視鏡検査を行います。

    • 用途:診断+治療
    • 特徴:十二指腸内視鏡を用いて十二指腸乳頭から胆管・膵管に造影剤を注入し、X線撮影
    • メリット:結石除去や胆道ドレナージなどの治療を同時に行える
    • デメリット:侵襲的、急性膵炎などの合併症リスク(数%程度)あり、入院が必要

    使い分けの基本

    現代の胆道診療では、まずMRCPで結石の有無や胆管の状態を評価し、結石があれば治療目的でERCPを実施する、という流れが一般的です。当院ではMRCPも最短当日撮像できますが、明らかに結石による急性胆管炎で緊急性が高い場合は、最初からERCP目的に近隣の高次医療機関を紹介させていただきます。

    治療の進め方

    急性胆管炎・総胆管結石の治療は、原則として以下のステップで進めます。

    治療の流れ

    1. 抗菌薬投与と全身管理

    発症直後から、感染をカバーする抗菌薬を経静脈的に投与します。あわせて、絶食・補液・血圧管理・酸素投与などの全身管理を行います。重症例では集中治療室での管理となります。

    2. 胆道ドレナージ

    胆汁の流れが滞っていることが急性胆管炎の本質です。抗菌薬で炎症をコントロールしつつ、胆汁の通り道を確保する「胆道ドレナージ」を並行して行います。

    • 内視鏡的胆道ドレナージ(ERCP下):第一選択
    • PTBD(経皮経肝胆道ドレナージ):ERCPが困難な場合

    3. 結石除去

    炎症が落ち着いてから、または同時に、ERCPで結石を取り除きます。

    • EST(内視鏡的乳頭括約筋切開術)
    • EPBD/EPLBD(内視鏡的乳頭バルーン拡張術)
    • 機械的砕石・バスケット採石
    • 難治例では電気水圧衝撃波砕石、レーザー砕石を併用することも

    4. 胆嚢摘出

    胆嚢結石が原因の総胆管結石症の場合、再発予防のため、後日改めて胆嚢摘出術を行うのが原則です。総胆管結石の治療後、6〜8週間以内の胆嚢摘出術が推奨されています。

    当院での対応範囲と高次施設連携

    診断と治療には、ERCP設備、内視鏡医のマンパワー、入院での全身管理が必要となります。当院の役割と、連携医療機関への紹介について整理します。

    当院で対応可能なこと

    • 症状の問診、初期評価
    • 腹部エコー検査、血液検査
    • 腹部CT・MRCP検査の手配(連携施設で実施し、結果は当院で説明)
    • 治療方針のご説明とコーディネート
    • 連携施設での治療後の経過観察
    • 胆嚢結石が原因の方の、胆道治療後の腹腔鏡下胆嚢摘出術(日帰り対応可)

    高次医療機関へのご紹介が必要なケース

    • 総胆管結石のある方
    • 急性胆管炎の方
    • 重症で集中治療が必要な方
    • 悪性腫瘍が疑われる方

    連携体制

    当院では、近隣の大学病院・基幹病院と連携体制を構築しています。診断確定後、速やかに紹介状を作成し、画像データとともにスムーズな転院・入院を支援します。当院では事前相談をいただくことも多いため、ご来院される『前から』情報共有が可能です。日帰りを希望される方も多いので、ERCP後の胆嚢摘出術のみ当院で担当させていただくケースも多いです。入院中から公式LINEやお電話でいつでもご相談いただけます。

    「胆嚢結石と総胆管結石の両方がある」場合の治療順序

    両者を同時に有する患者さんは少なくありません。一般的な治療の流れは以下の通りです。

    1. まず連携医療機関でERCPによる総胆管結石除去
    2. 全身状態が安定した後、当院で日帰り腹腔鏡下胆嚢摘出術

    内視鏡治療と外科治療を「分業」する形で、患者さんの負担を最小化する治療計画をご提案します。

    治療後のフォロー

    治療が終わってからも、再発のリスク評価とフォローアップが続きます。

    再発リスクが高い方

    • ご高齢の方
    • 胆管拡張が強い方
    • 一次性総胆管結石の方
    • 胆管狭窄や十二指腸乳頭傍憩室を伴う方
    • 胆管結石を複数回繰り返している方

    これらの方には、定期的な血液検査と画像検査での経過観察をお勧めします。

    日常生活上の注意

    • 急性胆管炎の既往がある方は、発熱・黄疸・腹痛のいずれか組み合わせがあれば、ためらわず受診を
    • アルコール、脂肪分の摂りすぎは胆道系への負担となります
    • 健診で肝胆道系酵素の異常を指摘されたら、放置せず精査を受けてください

    よくあるご質問

    総胆管結石は症状がなくても治療が必要ですか?

    総胆管結石は、無症状であっても急性胆管炎や胆石性膵炎を起こすリスクがあるため、原則として治療が推奨されます。胆嚢結石とは異なり、「無症状なら経過観察」とはなりません。

    ERCPはどのくらい入院が必要ですか?

    一般的には2〜4日程度の入院が必要です。検査・治療自体は1時間前後ですが、術後の経過観察(特に急性膵炎の合併症チェック)のため、数日の入院管理が望ましいとされています。

    胆嚢結石を放置すると、必ず総胆管結石になりますか?

    全員ではありませんが、胆嚢内の結石が胆嚢管を通って総胆管に移動することは珍しくありません。胆嚢結石症の方の数%〜10%程度に総胆管結石が合併すると報告されています。胆嚢結石症で症状がある方は、早めの治療をお勧めします。

    黄疸が出ましたが、急性胆管炎ではないこともありますか?

    黄疸の原因は、総胆管結石以外にも、胆嚢がん・胆管がん・膵頭部がんといった悪性腫瘍、肝炎、薬剤性肝障害など多岐にわたります。原因の特定には精密検査が必要です。早めに消化器内科または消化器外科を受診してください。

    まとめ

    放っておくと敗血症などの重篤な合併症を引き起こすことがあるのが、総胆管結石と急性胆管炎です。早めの対処が必要となります。

    ERCPなどの専門的な処置と入院での全身管理が必要となります。当院では、診断から治療コーディネート、その後の日帰り腹腔鏡下胆嚢摘出術まで、近隣の高次医療機関と密に連携しながら、患者さんに最適な治療を一貫してサポートしています。

    当院の最大の特徴は、受診前から高次医療機関紹介後も続く相談体制です。入院中のご相談も多いです。公式LINE、お電話から24時間いつでもご相談いただくことが出来ます。

    黄疸や原因不明の発熱を繰り返している方、胆嚢結石症で「総胆管結石も合併している」と言われた方はもちろんですが、現在総胆管結石の治療中の方もお気軽にご相談ください。